ひとり遊び

全てただの独り言です。

世界の中の小さな場所だけあればいい

待ちに待った「あつまれどうぶつの森」をプレイした。

 

どうぶつの森、というゲームにおそらくそこらへんの人よりかは大きな感情を寄せてしまっている私は、プレイしながらせり上がってくる感動とか懐古とか、そういう類のものに耐えられなかった。はぁ…どうぶつの森って…いいゲームだなぁ…。

 

 

私とどうぶつの森の出会いは私が小学生の頃に遡る。

私は小学1、2年生の頃、これといって友達がいたという記憶があまりない。なんとなく覚えているのは、お昼休みにみんながドッチボールや鬼ごっこなどをして遊んでいるのを横目に、校舎内や校庭などをひたすら1人で歩き回ったことだ。気に入った場所を見つけたらそこに座り、約40分の間ひたすらぼーっとするか自由帳に絵を描いていた。人より少しは絵を描くのが得意だったので、時々通りかかった同じクラスの子に「すごい!絵上手だね!」などと褒められることはあったものの、それに対して私はか細い声で「ありがとう」などと返すだけ。大抵それだけで終わっていた。学校社会において、人と活発に言葉を交わすコミュニケーション能力が多少はないと友達という枠組みに入ることは難しいらしい、と学んだ。

 

そんな日々の中で、私はずっとぼんやりと「どこかへ行きたいな」と思っていた。「どこか」とは別に遠くへ行きたいとか、外国に行ってみたいとかそういうニュアンスのどこかではなく、自分ひとりだけが知っているような場所に行きたいような、なんとなく自分でない人の人生を歩んでみたいような、そんなニュアンスの「どこか」だった。

 

そんなこんなで私は小学4年生になり、そんなこんなでそれなりに友達もできていた。そんな中でも、ふと気がつくと私はずっと「どこか」に行きたいと思っていた。

ある日友達が小さなゲーム機を手にしているのを見て、私は親にそのゲーム機をねだってみた。「みんな持ってるから…」とかいうお決まり文句を語りながら。

晴れてゲーム機を買ってもらえることになった私はウキウキでゲーム機を選んだ。今でも忘れない、DS Liteのクリスタルホワイト。今ではもう上画面が壊れてしまって映らない、私が初めて買ったゲーム機。そして当然、ゲーム機だけではゲームはできないから…と私が手に取ったソフトが「おいでよどうぶつの森」だった。あの時、このゲームソフトを選んでおいてよかった、と本当に思う。

 

 

 

私が人生で初めて買ったゲームが「どうぶつの森」だった。

 

 

 

プレイしてみて驚いた。どうぶつの森は、私が今までずっと行きたかった「どこか」に連れて行ってくれるものだった。画面の中の世界は私だけが知っているもので、別の姿の私が別の人生を送っている。すごい。たのしい。ゲームってすごい。そう思わせてくれるゲームとの出会いだった。

それからはこれでもかというほどやり込んだ。1つ目の村でやることがなくなってしまったので(家のローン完済、魚虫図鑑コンプ、金の道具全揃え、博物館寄贈コンプ等)、もう2回ほどデータを全消しして最初からやり直し、再びやることがなくなってしまうまで遊んだ。擦り切れるほど遊ぶとはこういうことか、と思った。

おいでよどうぶつの森」は今でも私の1番大好きなゲームで、今の私を構成する大切な一部になっている。

 

初めてゲームを買ってもらった日から10年以上経った今でも、私は変わらずゲームをやっている。というか最近になってまたやり始めた、の方が正しいか。完全に好きな人たちの影響だけれど。

 

 

相も変わらず、ずっと「どこか」に行きたくてゲームをやっている。「どこにも行かずにどこかへ行ける」のでやっぱりゲームって、いいな。と思う。

 

 

最近、「わた〜しのこ〜とはほっといて♪︎」というフレーズがずっと頭の中を駆け巡っていて、何の歌だったっけと調べてみたら、かもめ児童合唱団の「私の世界」という歌だった。確か私が中学生ぐらいの頃に放送されていた「泣くな、はらちゃん」というドラマの挿入歌だった。ドラマの内容はあまりよく思い出せないけれど、いいドラマだったなということはぼんやりと記憶している。

 

「世界中の敵に降参さ 戦う意思はない

 世界中の人の幸せを祈ります

 世界の誰の邪魔もしません 静かにしてます

 世界の中の小さな場所さえ あればいい

 おかしいですか人はそれぞれ 

    違うでしょ?でしょでしょ?

 だからお願い かかわらないで 

    そっとしといてくださいな

 だからお願い かかわらないで 

    私のことはほっといて」

 

この頃はずっとこの曲を聴いている。「世界の中の小さな場所さえあればいい」という歌詞が最近の自分のスタンスに合っていてとても好きだ、と思う。

 

ここ一ヶ月程、何をしていても責められているような気がして、何が苦しくて悲しいのか分からないままに涙が出てきたり1日中動けなかったりして、とても気分が落ち込んでいた。あつ森がプレイできてからは随分とマシになった気がする。画面の中の小さな世界で、私はゆるやかに息ができている。

大きな世界に見つけてもらえなくても、自分のための小さな場所さえあればそれでいいな。そう思える。

 

 

 

私の手の平の中に、小さな居場所がある。それだけで救われている。